TECLとSOXLの違い|両方持つ私が全銘柄を数えたら、重なりは4割弱だった

TECLとSOXLの中身の重なりを2つの円で表した図。同じ会社に重なって入っているお金は37.5%(4割弱) 銘柄を知る

TECLとSOXLを、私はどちらも20%ずつ持っています。

8月にTECLの記事を書いたとき、上位10社を並べて、半導体の会社が3割を超えていることに気づきました。そこで「TECLの3割ほどはSOXLと同じもの」と書いています。6年持っていて、気づいたのはその時でした。

なので今は、2本の中身がかなり重なっていると聞いても、「だろうね」と思うくらいです。

ただ、「重なっている」とひと言で言っても、どれくらいかは数え方で変わります。そこで今回は、2本の中身を全部の銘柄で数え直し、10年分の値動きと並べました。調べてみると、2本の違いは、重なっていない部分と、重さの付け方のほうに出ていました。

どちらが良いか、という結論はこの記事では出しません。何が同じで、何が違うのかを数えた記録です。

TECLとSOXLの違いを30秒で

まず全体像です。

TECLSOXL
目指す値動きテクノロジー株の指数の、1日の値動きの3倍半導体株の指数の、1日の値動きの3倍
連動する指数テクノロジー・セレクト・セクター指数(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス)NYSE半導体指数(ICE)
入る会社S&P500のうち、情報技術セクターの全社(74社)米国で上場している半導体の会社のうち、大きい順に30社
海外の会社S&Pが「米国の会社」と判断した会社だけ。ADRは入らない米国で上場していれば入る(いまは8社。ADRも対象)
上位3社NVIDIA・Apple・Microsoft(3社で39.4%)Intel・AMD・Micron(3社で26.7%)
1社の重さの上限ゆるい(大きくなりすぎた会社だけ削る)きつい(1社8%まで、など)
経費率(費用の上限を当てた後)年0.87%年0.75%
設定日2008年12月17日2010年3月11日
値動きの大きさ(年率・10年)74%103%

※会社の数と比率は、運用会社のDirexionが毎日公開している保有明細(2026年10月2日)から、株で持っている分を100%として計算。経費率と設定日はDirexion公式(2026年10月1日時点)。値動きの大きさは、2016年10月から2026年10月までの毎日の終値から計算(後半で説明します)。ADRは米国預託証券のことで、海外の会社の株を米国で売り買いできる形にしたものです

ここから、表の中の3つを掘ります。中身がどれだけ重なっているか、違いを生んでいるルール、そして値動きの差です。

中身はどれだけ重なっているか

数え方で、答えが3つ出る

Direxionは、TECLとSOXLが持っているものを毎日公開しています。中身は株と、3倍にするための契約(スワップ)と現金です。この記事では、株で持っている分だけを取り出して100%に直しました。

この直し方で、元の指数の比率がほぼそのまま出ます。同じ指数に連動する1倍のETF(TECLならXLK、SOXLならSOXX)の明細と比べると、TECLは74社、SOXLは30社、どちらもすべて同じ顔ぶれでした。同じ日の株価で計算し直すと、比率の差はどの会社も0.01ポイント未満です。

2026年10月2日の明細で数えると、TECLは74社、SOXLは30社。両方に入っている会社は17社でした。

重なり方は、数え方で3通りの答えが出ます。

数え方答え
会社の数TECLの74社のうち17社/SOXLの30社のうち17社
比率(共通の17社が、それぞれの中で何%か)TECLの45.6%/SOXLの81.5%
お金の重なり(同じ会社に、同じだけ入っている部分)37.5%

3つ目は少し説明がいります。たとえばNVIDIAは、TECLの中では15.48%、SOXLの中では7.37%です。TECLとSOXLを同じ金額ずつ持ったとき、NVIDIAに重なって入っているのは、小さいほうの7.37%分だけです。これを共通の17社ぶん足すと、37.5%になります。

SOXLの中では、この17社が8割を占めます。でも、お金の重なりは4割弱です。 「SOXLの8割はTECLと同じ」とだけ聞くと、2本はほとんど同じものに聞こえますが、実際に重なっているのは4割に届きません。

TECLの記事で書いた「3割」は、上位10社のうち半導体の6社だけで数えた数字でした。全部の会社で数えると、比率では4割半、お金の重なりでは4割弱です。「3割ほどは同じもの」という見立ては、お金の重なりで見ると、大きくは外れていませんでした。

両方に入っている17社の、それぞれの中での重さ

2026年10月2日。Direxionの保有明細から、株で持っている分を100%として計算

TECLの中
SOXLの中
3.35%
Intel
9.45%
5.04%
AMD
9.22%
4.56%
Micron
8.07%
15.48%
NVIDIA
7.37%
4.53%
Broadcom
6.54%
1.32%
Marvell
4.47%
2.36%
Applied Materials
4.07%
1.47%
KLA
4.02%
2.39%
Lam Research
3.98%
1.11%
Analog Devices
3.94%
1.44%
Texas Instruments
3.80%
1.09%
Qualcomm
3.77%
0.36%
Teradyne
3.15%
0.38%
Monolithic Power
3.14%
0.34%
NXP
2.94%
0.24%
Microchip
2.04%
0.17%
ON Semi
1.51%

NVIDIAだけTECLの中のほうが重く、ほかの16社はSOXLの中のほうが重い

同じ顔ぶれでも、重さがまるで違う

図1を見ると、同じ会社でも、2本の中での重さがかなり違うことが分かります。

  • NVIDIAは、TECLでは15.48%で1位、SOXLでは7.37%で4位。同じNVIDIAが、TECLの中ではSOXLの約2倍の重さです
  • 逆にIntelは、TECLでは3.35%なのに、SOXLでは9.45%で1位です
  • 共通の17社のうち、NVIDIA以外の16社は、どれもSOXLの中のほうが重くなっています

なぜこうなるのか。次の章で、2本のルールの違いを見ます。

違いを生んでいる2つのルール

1社の重さの上限が違う

SOXLが追うNYSE半導体指数には、1社の重さに3段の上限があります。指数のルールの原文は、同じ指数に連動するSOXXの運用会社iSharesが、米国の証券当局に出した書類に載っています。

  • すべての会社は8%まで
  • 大きい順に5社を除いた会社は、4%まで
  • ADRは、合計で10%まで

この上限は、年1回の入れ替え(9月)と年3回の見直し(3月・6月・12月)のときに当てはめられます。その後は株価の動きで比率が動くので、いまIntelは8%を超えて9.45%になっています(くわしくは指数改編の記事に書きました)。SOXLの中のNVIDIAが7%台にとどまっているのは、この上限のためです。

TECLが追うテクノロジー・セレクト・セクター指数にも上限はあります。ただ、こちらは米国の投資信託の税金のルール(分散の条件)に合わせて、大きくなりすぎた会社を削るためのもので、SOXLほどきつくありません。結果として、TECLは上位3社(NVIDIA・Apple・Microsoft)だけで39.4%。SOXLは上位3社で26.7%です。

まとめると、TECLは「テック全体に広く、でも上位3社に集中」、SOXLは「半導体だけに絞って、30社に分散」です。

入れる会社の決め方が違う

もうひとつの違いは、どの会社を入れるかの決め方です。

TECLの元はS&P500です。 S&P500の会社のうち、情報技術セクターに分類された会社が全部入ります。そしてS&P500に入れるのは「米国の会社」だけです。S&Pの採用条件の原文には、対象外の株の種類として、ADRがはっきり書かれています。

SOXLの元のNYSE半導体指数は、米国で上場している半導体の会社のうち、大きい順に30社です。 ふつうの株に加えて、ADRも対象です。海外の会社でも、米国で上場していれば入れます。

この違いから、SOXLにしかない会社が13社あります。

会社(SOXLの中の比率)
海外の会社(8社)SKハイニクス(韓国)3.17%/TSMC(台湾)2.98%/ASML(オランダ)1.44%/タワー・セミコンダクター(イスラエル)1.23%/ASE(台湾)0.89%/UMC(台湾)0.69%/ARM(英国)0.50%/STマイクロエレクトロニクス(欧州)0.41%
米国の会社向けの書類を出している会社(5社)アステラ・ラボ 2.47%/クレド 1.73%/エンテグリス 1.17%/MACOM 1.05%/Cerebras 0.79%

※2026年10月2日のDirexion保有明細から計算

海外の8社は、どれも米国の会社向けの書類(年次報告書の10-Kなど)ではなく、海外の会社向けの書類(20-Fなど)で届け出ています。 S&Pの条件では、ここで「米国の会社」に当たりません。しかもSKハイニクス・TSMC・ASE・UMC・ARMの5社は、米国ではADRで取引されています。

ただ、国籍だけで決まるわけではありません。たとえば、登記がオランダのNXPや、アイルランドのアクセンチュアは、TECLに入っています。 どちらも米国の会社向けの書類(10-K)を出していて、S&Pが「米国の会社」と判断しているからです。S&Pの条件には、書類の種類のほかに、資産や売上の中心がどこか、主な上場先がどこかも入っていて、最後は委員会が決めます。

米国の会社向けの書類を出している5社は、S&P500に入っていない会社です。 S&P500に入るには、ほかにも時価総額・黒字(直近4四半期の合計と、直近の四半期がともに黒字)・取引の多さ・上場から12か月以上、などの条件があり、最後は委員会が選びます。このうちCerebrasは2026年5月の上場なので、12か月の条件をまだ満たしていません。ほかの4社がなぜ入っていないかは、委員会の判断も入るので、外からは言い切れません。

もうひとつ、表の中で目を引くのがTSMCです。台湾の半導体大手のTSMCも、SOXLの中では2.98%です。SOXLの指数ではADRの合計が10%までと決まっていて、いまはSKハイニクス・TSMC・ASE・UMC・ARMの5社のADRで、合計で約8.2%になっています。

SKハイニクスが入ったのは、2026年9月の入れ替えです。入るまでのいきさつは、SKハイニクスの記事と指数改編の記事に書いています。

値動きはどう違ったか

中身が4割近く重なっているなら、値動きも似ているのでしょうか。Nasdaqの公開データで、2016年10月から2026年10月までの10年分、毎日の終値を並べました。

10年で見ると、同じ向きに動いて、幅が違う

2本が同じ向きに動いた日は、10年(2,512日)のうち83.8%でした。値動きがどれだけ連動しているかを表す数字(相関係数。1に近いほど同じように動く)は0.89です。毎日の値動きは、かなり似ています。

違うのは、動く幅です。1年あたりの値動きのぶれの大きさ(毎日の値動きの標準偏差を1年分に直したもの)を比べると、こうなります。

期間TECLSOXLSOXLはTECLの
10年(2016年10月〜)74%103%約1.4倍
5年(2021年10月〜)77%115%約1.5倍
1年(2025年10月〜)79%137%約1.7倍

※毎日の終値から計算。TECLは2025年12月10日の分配(1株8.04ドル)を足し戻して計算

SOXLは、TECLの1.4倍の幅で動いてきました。 直近1年に限ると、差は1.7倍に広がっています。

同じ向きに動いても、幅が1.4倍違えば、大きく下げる局面では差がはっきり出ます。高値から安値までの下げが大きかった5回を並べると、こうなります。

高値から安値までの下げ幅(大きかった5回)

毎日の終値で計算

2018年
TECL
−59.7%
SOXL
−66.7%
2020年2〜3月
TECL
−75.1%
SOXL
−80.4%
2021年12月〜2022年10月
TECL
−78.0%
SOXL
−90.5%
2024年7月〜2025年4月
TECL
−66.7%
SOXL
−88.0%
2026年6〜7月
TECL
−45.1%
SOXL
−69.4%

始まりの日は銘柄ごとに少し違います(2018年はTECLが10月3日、SOXLが3月12日から。2026年はTECLが6月2日、SOXLが6月22日から)

5回とも、SOXLのほうが深く下げています。 上がるときも大きく動くので、どちらが得かはこの図だけでは決まりません。ただ、下げの深さは毎回SOXLのほうが深くなっていました。

毎日3倍をくり返す仕組みでは、値動きの幅が大きいほど、上げ下げをくり返すうちの目減り(減価)も大きくなります。この仕組みはSOXLの記事で説明しています。

私の判定日で見ると、上回るほうが毎回のように入れ替わった

ここからは、私自身の記録です。レバラボは毎月最終金曜に、前の営業日(ふつうは木曜)の終値で5資産の比率を確かめています。2026年4月からの判定日の間で、2本の値動きを比べました。

期間(木曜の終値)TECLSOXL上回ったほう
4月23日→5月28日+67.9%+99.2%SOXL
5月28日→6月25日−8.5%+12.5%SOXL
6月25日→7月30日−17.2%−54.6%TECL
7月30日→8月27日+20.8%+7.3%TECL
8月27日→9月24日+8.8%+18.9%SOXL
通算(4月23日→9月24日)+67.1%+29.8%TECL

※終値で計算。この期間の分配金は0.1%前後で、結果は変わりません

5回のうち、SOXLが上回った期間が3回、TECLが2回です。しかも6月の判定日までは、通算でSOXLが+124%、TECLが+54%と、大きく差がついていました。それが7月の1回の下げでひっくり返り、9月の判定日までの通算ではTECLのほうが上になっています。

ポートフォリオの中の比率で見ると、この半年の判定日に、TECLは19.5%から25.0%の間、SOXLは10.3%から34.1%の間を動きました。6月はSOXLが34.1%まで膨らんでリバランスを発動し、7月は10.9%まで痩せ、8月はさらに10.3%まで下がったところで、WEBLの発動にあわせて20%に買い戻しました。

TECLが上がれば「TECLにしておけばよかった」、SOXLが上がれば「SOXLにしておけばよかった」。私はそのたびに思っています(笑)。この表を見ると、そう思う回数が多いのも当然でした。

両方持つと何が起きるか

半導体が、二重に乗る

TECLとSOXLを目標どおり20%ずつ持つと、SOXLに入っている30社のどれかに向かうお金は、TECLの側から約9%(20%×45.6%)、SOXLの側から20%で、合わせてポートフォリオ全体の約29%になります。2本の40%のうち、7割強です。

5資産を均等に持っているつもりでも、中身で数えると、半導体の会社にかなり寄っています。TECLの記事で「半導体への賭けが二重に乗る」と書いたことを、数字で確かめた形です。

それでも、7月は分散が効いた

一方で、2本は同じものではありません。

7月、SOXLが−54.6%だった期間に、TECLは−17.2%でした。同じ指数に連動する1倍のETFで見ると、TECLの側(XLK)は−4.8%、SOXLの側(SOXX)は−19.3%です。TECLは中身の半分ほどが半導体以外の会社なので、半導体が大きく崩れた月は、下げが薄まります。

あの月、私は2本の違いを感じましたし、分散が効いているのかな、と思いました。

私は、別々の枠のまま持つ

重なりがあると分かっても、レバラボではTECLとSOXLを別々の枠として持ち、毎月最終金曜にどれか1つでも20%から10ポイント以上ずれていたら、全部を20%に戻す、というルールを続けます。組み替えない理由はTECLの記事に書いたとおりです。±10%ルールのやり方も別の記事にまとめています。

これは私の実験のやり方で、TECLとSOXLのどちらか、または両方を持つことを勧めるものではありません。

まとめ

  • 中身:両方に入っている会社は17社。SOXLの中ではこの17社が8割を占めるが、お金の重なりは4割弱(37.5%)
  • 違いの理由:1社の重さの上限(SOXLはきつく、TECLはゆるい)と、入れる会社の決め方(TECLはS&P500のルールで米国の会社だけ、SOXLは米国で上場していれば海外の会社も)
  • 値動き:同じ向きに動いた日は8割超。でも動く幅はSOXLがTECLの約1.4倍で、大きな下落は5回ともSOXLのほうが深かった

どちらが良いかは、この数字からは決められません。私はこれからも、2本を別々の枠のまま、最終金曜に比率を見るだけです。

あくまで個人の実験記録なので、生暖かい目で見守っていただけたら嬉しいです。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。

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